旅先ではいつも以上に階段や坂道の登り降りをする機会も多いと思います。
平地を歩くのとはまた違った負担が体にかかるので、事前にしっかりと準備しておいた方が良いでしょう。
昇り降りで体に負担が大きいのはどっち?
階段や坂道の登り降りは、平地を歩くよりもかなり息が上がります。平地を歩くのに比べて運動量が増えるため、体が酸素を必要とします。酸素をたくさん体に取り込もうとする結果、息が上がってくるわけです。
また脚を持ち上げる動きをしなくてはいけないので、太ももの前側の筋肉がいつも以上に使われることになります。
これに対して下りは楽だと感じやすいのですが、実は体の筋肉にかかる負担はくだりの方が大きくなります。
下りの場合も太ももの前の筋肉を使って動くわけですが、登りのように大きく脚を持ち上げる必要はないので、酸素の必要量はそこまで増えません。なので比較的息が上がらずに進んでいく事ができるので、楽であるかのように感じます。
下りの方が負担がかかる理由
しかしながら降りる時に太ももの前の筋肉は”伸張性収縮”と呼ばれる独特の働きをします。
伸張性収縮とは
通常筋肉は長さを短くする事で骨を引っ張って力を発揮します。肘を曲げた時に力こぶができるのは、この部分の筋肉が短くなっているからです。これを”短縮性収縮”と呼びます。
しかし下りを歩く際には違った動きをします。筋肉が伸びながらブレーキをかけるように力を出すのです。この動きをすると普通に力こぶを出す時と異なった力の出し方をすることになります。
これを”伸張性収縮”と呼び、これは普通に力を出す時よりも筋肉に大きな負担がかかる動きになります。
筋肉痛の原因に
なので下りを歩くときは息はさほど上がらなくても実は筋肉にはものすごく大きな負担がかかっています。この”伸張性収縮”の動きは筋肉痛の大きな要因になると考えられています。
そして自分でも気がつかないうちに脚に疲労が蓄積されてきますので、徐々に思い通りに脚を動かせなくなってきて転倒などの危険性も高まってしまいます。
ですので、日頃から太ももの前の筋肉をしっかりと鍛えておく必要があります。階段や坂道を歩く旅に備えて、出発前に取り組んでおいて欲しい簡単なエクササイズを紹介します。
手軽にできるエクササイズ ”パテラセッティング”
これは膝のリハビリでよく使われる運動です。両脚を伸ばして長座位になります。
そして片側の膝の真下に重ねた座布団を入れて少し膝が曲がるようにします。30度ほど曲がれば十分です。この時もう片方の脚は伸ばしたままにしておいて下さい。
この状態から膝裏で座布団を床に押し付けるように力を加えます。この時に足首とつま先を反らすようにすると力が入りやすくなります。6秒間力を入れ続けて6秒間休みます。これを5〜10回ほど繰り返します。こうすると太ももの前の筋肉の強化につながります。
このエクササイズは最も手軽にできますので、昇り降りの多い旅の三週間ほど前くらいから毎日取り組んでみて下さい。