柳田國男の「旅人の爲に」の中に上記の一文があります。
なぜそのような事を述べているのでしょうか。柳田は著書の中で風景について、以下のように述べられています。
風景について
人が旅に出たいと思う一つに「風景」を見たいという思いがあり、風景は天然の美に留まらず、日本の長い歴史の中で培われた各地の生活様式、自分の土地にはない生活も「風景」として旅人は求めているということですね。(引用の中の「他の条件」とは、宿だったり、食事だったり、風景を見るときの環境のことです。)
目的地までの風景を楽しむ
車窓から流れて行く土地土地の生活様式が垣間見えるのも風景の美しさの一つですよね。つまり、旅は終着点に着くことだけではなく、道中の車窓から眺めることのできる美しい風景を楽しむことも旅の目的の一つだということですよね。小学生の頃、田舎に遊びに行く時はまさに車窓を楽しむことが目的だったように思い出します。
旅人の体験をデザインする
いかがでしたでしょうか。
当たり前のように聞こえる話ですが、今改めて重要なポイントのように感じています。
冒頭の引用に戻りますが、目的地までの道中も含めた「旅人の体験」をデザインすることで、新しい観光スタイル、消費が生まれるかもしれません。
目的地で思う存分楽しむための「効率的な移動」も便利で魅力的な移動の一つだと思いますが、例えば在来線を使った移動は、目的地までをゆっくりと風景を楽しむものとして魅力的ではないかと思います。在来線は街中を走り抜け、沿線の生活をつなぐものなので、新幹線の移動とは違う、風景がより身近に感じる体験を味わうことができます。
そんな旅のお供に「在来線に乗ろう(冊子)」もぜひ。