旅に出たくなる雑学

各地の風習を楽しむ|雑節の半夏生に食べる蛸と鯖。その理由とは?

雑節の一つ「半夏生」

半夏生(はんげしょう)をご存知でしょうか?

これは夏至の11日後、もしくはそこから5日間のことで、季節の移り変わりを表す”雑節”と呼ばれるものの一つです。

梅雨明けを間近に控えたこの時期は、農業を生活の中心に据える昔の人々にはとても意味のあるもので、一般に半夏生までに田植えを終えるようにしていました。そして半夏生の間は”物忌み”として田植えをしない、といった風習がある地域も多いようです。

“物忌み”とは、一般にお酒や肉を絶ったり、普段のような生活を控える行為のことで、穢れを払うという意味があります。

日本には様々な”物忌み”の風習がありますが、その多くは体を休めるためのものではないか、とも思います。

半夏生の間に田植えをしないのは、この時期に神棚や水田にお供えをして神様に感謝をし豊作を祈願する儀式を行うためであるのと同時に、重労働である田植えを終えて疲労した体をしっかりと休めるという意味合いもあるわけですね。

半夏生に各地で食べられる食材とその理由

そしてこの半夏生には各地いろいろなものを食べる風習が伝わっていますが、関西地区ではタコを食べます。

今年の半夏生は7月1日です。近所のスーパーでは”半夏生のタコ”として、多くの商品が陳列されていました。

タコを食べるのは粘着力のその強い足にちなんで”タコの足のようにイネがしっかりと根づきますように”といった願いが込められているからだと言われています。

同時にタコはタウリンが豊富なので、疲労回復にも適した食べ物です。梅雨の湿度や冷房で疲れた体にも良いでしょう。

また、福井県ではサバを食べる風習があります。

これはかつて越前大野藩の藩主が田植えを終えた農民をねぎらって栄養価の高い焼きサバを振る舞ったことが始まりで、半夏生の焼きサバはこの時期の風物詩になっています。

こうした先人の知恵を学べる風習に触れる事を目的として、各地を訪れてみるのも楽しいですね。

関連記事

  1. 地域の食文化を知る|八丁味噌について
  2. 東北地方に残る民間信仰「オシラサマ」をご存知ですか?
  3. 全長5km。わずか7分足らずのミニ路線|美濃赤坂支線
  4. キハ181系特急の迫力|四国の旅を支え続けた”南風&…
  5. 神話と歴史の趣を感じる路線|JR西日本 木次線
  6. 日々の平穏を願う風習|キジ車
  7. 大阪から北陸、東北へ!懐かしの寝台特急『日本海』と『つるぎ』
  8. 食事がもっと楽しくなる “基本味” の話…

おすすめ記事

実は下りの方が負荷が高い!?旅先の坂道を楽しむための膝のエクササイズ

旅先ではいつも以上に階段や坂道の登り降りをする機会も多いと思います。平地を歩くのとはまた違った負担…

歴史を歩く#2 |江戸時代からの風習が関係している!?名古屋のモーニング

名古屋の食文化となったモーニング食文化の豊かな名古屋には味噌カツ、海老フライ、ひつまぶし、…

知ってお得に旅しよう!|JR特急の乗継割引について

JRには知っていると得する運賃や料金のルールがあります。今回は新幹線、寝台特急と在来線特急の乗り継…

民話の故郷を訪ねて|岩手県遠野

岩手県遠野は民話の故郷としてして知られています。かつてこの地出身の佐々木喜善が語った現地に伝わる話…

先祖への感謝、故人へ思いを馳せる旅|日本三大霊場の一つ恐山

青森県下北半島にある恐山は日本三大霊場の一つとして知られています。宇曽利山湖の湖畔にある恐…

JR切符の基礎知識① 運賃と料金について

JRの切符には色々なルールがあります。これらを知っておくとお得に旅ができることも少なくありません。…

福男選びで有名な十日戎の開門神事とは?|西宮神社

関西地区では1月10日は「十日戎(とおかえびす)」として知られています。十日戎とは「七福神…

森と水とロマンの鉄道|JR東日本 磐越西線

森と水とロマンの鉄道磐越西線は福島県の郡山から会津若松を経由して新潟県の新津まで伸びる全長…

在来線の旅|越美北線

越美北線とは?越美北線は福井県内の越前花堂と九頭竜湖の間、全長52.5kmを結ぶ路線です。…

歴史を歩く#1| 江戸を席巻した下り酒。灘五郷の日本酒

1300年頃から続く酒どころ西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷の五つからなる灘五郷は清酒…

旅を快適に

  1. 烏山線の旅

旅先のからだケア

旅に出たくなる雑学

PAGE TOP