旅に出たくなる雑学

昭和の鉄道旅を辿る|碓氷峠と峠の釜飯

たった一区間のために開発されたEF63

かつての信越本線には一駅の間だけ機関車の助けを借りながら列車が峠を越えていた場所があります。群馬県と長野県の県境に位置する信越本線の碓氷峠です。

横川駅と軽井沢駅の間のわずか一区間11.2kmですが、この区間だけ機関車がすべての列車に連結され登り降りを助けていました。

66.7‰の急勾配を越える

この場所の勾配は66.7‰(パーミル)。これは1000m進むと66.7m登っているという意味です。

角度にすると4度ほどなのですが、鉄道にとってはかなりの急勾配となり、実際にこの区間を走っていた特急あさまの先頭と最後尾ではビルの1階と5階ほどの高低差が出ていました。ここまでの勾配だと通常の列車ではとても登り降りできないため、EF63というこの一区間の為だけに開発された特殊な電気機関車2両を必ず下り側に連結して峠を越えていました。

新幹線開業前は関東と信州、北陸を結ぶ大動脈としてこの場所を毎日多くの列車が走っていましたが、その全てがこのようにして峠を越えていたので、最寄りの駅では連結、切り離し作業がひっきりなしに行われていたことになります。

停車時間を有効活用して人気を博した駅弁

そのため駅での停車時間が長くなっていたのですが、その時間を利用して人気が出たのが横川駅名物峠の釜飯です。
列車が入ってくるたびに多勢の売り子さんがホームに出てきて停車時間を利用して乗客に釜飯を販売していました。

この信越本線の横川ー軽井沢間は残念ながら1997年10月の長野新幹線開業とともに廃止されてしまい、今ではこうした光景を見ることができませんが、峠の釜飯は今でも人気の駅弁として横川駅や近くのサービスエリア、高崎駅などで購入することができます。

当時に想いを馳せながら駅弁を頂いてみてはいかがでしょうか?

tainovaのYouTubeチャンネルでも配信しています。よろしければフォローお願いします!

関連記事

  1. 民話の故郷を訪ねて|岩手県遠野
  2. 子供の時から鉄道好きで良かった3つのこと
  3. 歴史を歩く#5|酒問屋で賑わいをみせた江戸の新川の今と昔
  4. 沖縄のせんべろ
  5. 東北地方に残る民間信仰「オシラサマ」をご存知ですか?
  6. 森と水とロマンの鉄道|JR東日本 磐越西線
  7. 北陸本線を駆け抜けた特急列車
  8. 国鉄時代を今に伝える#1|非電化区間を駆け抜けるタラコ色。キハ4…

おすすめ記事

JR東海|豊橋駅のおすすめと見所

今回は東海道本線の在来線旅の際に乗り換えで一旦下車することが多い愛知県豊橋駅の楽しみ方をご紹介して…

食事がもっと楽しくなる “基本味” の話|旅先のお酒と料理を楽しむ

旅先ではその土地の郷土料理や地酒に出会うのも楽しみの一つではないでしょうか。最近では「吟醸…

先祖への感謝、故人へ思いを馳せる旅|日本三大霊場の一つ恐山

青森県下北半島にある恐山は日本三大霊場の一つとして知られています。宇曽利山湖の湖畔にある恐…

旅先のスマホ撮影もこだわれるカメラアプリ

先日、Adobe社が主催する写真編集ソフト「Adobe Lightroom」の生成AI機能を紹介す…

乗り物酔い対策に。乗り物酔いに効くツボ

薬を使わずにできる乗り物酔いの対策を二つお教えします。1.手首のツボを押す手首のし…

.local|誰もが地方に「もうひとつの居場所」を持つ時代に求められる体験を考える

ワークスタイルやライフスタイルの多様化が進み、都市部で勤務する人たちもテレワークを活用…

地域の食文化を知る|八丁味噌について

日本各地で様々な種類の味噌が作られていますが、愛知、岐阜、三重では豆味噌が好まれています。…

出雲街道を行く

”出雲街道”とはかつて姫路から出雲を中国山地を越えて結んだ約250kmにわたる旧街道です。播磨国(…

現役で走る国鉄時代の車両 キハ185系

国鉄が民営化され、JRになったのが1987年4月。2021年現在すでに34年の月日が経過しています…

森と水とロマンの鉄道|JR東日本 磐越西線

森と水とロマンの鉄道磐越西線は福島県の郡山から会津若松を経由して新潟県の新津まで伸びる全長…

旅を快適に

  1. 烏山線の旅

旅先のからだケア

旅に出たくなる雑学

広告

PAGE TOP