テレワークや、コワーキングスペースの活用が企業に浸透し始める中、コロナ禍を体験し、ワークスタイルはさらに大きく変化を続けている。ネットワーク環境とパソコンがあればどこでも仕事ができる。コミュニケーションが図れる。このことはワークスタイルの多様性だけではなく、移住や地方と都心の2拠点生活など、ライフスタイルの多様性にまで広がりをみせている。
このような中、多様なワークスタイルやライフスタイルに応えるように、広島県三原市では市の産業の活性化と雇用機会の拡大を目的として市内のサテライトオフィス開設やテレワークの実施を促進するため、市外の人に向けて「お試しサテライトオフィス」を提供し、三原市のテレワーク環境としての素晴らしさ、ビジネスの拠点とするメリットを訴求している。
お試しサテライトオフィスとは?
三原市のお試しサテライトオフィスは三原市大和町和木にある廃校となった三原市立和木小学校をリノベーションした施設「和木地域ふれあい交流センター」内にある。和木地区活性化を目的とした活動の中で、「交流」をキーワードに、定住・移住人口増加に向けた取り組みとして市外の人との交流も視野に、サテライトオフィスを整備。
廃校内の施設は新しく、Wi-Fiやシャワー室などの環境も整っている。廃校を活用しているため調理室や放送室はそのまま利用可能で、外にはピザ窯もあり、BBQなどで賑わうことも。「手づくりマルシェ」など地域の交流の場としても賑わっている。
テレワークで生まれる関係人口のカタチ
交流センターでは、地域住民に向けた「お茶の間サロン」や子どもたちに昔ながらの遊びを体験してもらう取り組みなどを行っている。こういった場所に、テレワークやワーケーションといったスタイルで市外から人がやってきて、何気ない地域交流を目にすることができる。この体験は、地域住民のふれあいの場とサテライトオフィスが同じ場所に展開していることの大きな特徴、可能性だと感じる。
何気ない地域交流に出会い、身をおくことで、地域の活気に触れるだけではなく、地域住民の抱える課題や不安にも接し、目に触れていく。こうした交流は特に都市部から訪れた人たちにとって、地域のために何か貢献してみたい、役に立ちたいといった「関係」を築きたい動機となるのではないかと思う。
県外・市外の人たちとの交流の「きっかけ」を作り出すことが難しい中、「和木地域交流センター」は、地域に溶け込むサテライトオフィスとして、新しい関係人口のカタチ、可能性を感じる場所だった。
コンパクトで素朴な三原市の自然を満喫
広島空港から車で15分ほどにある交流センター。この利便性は三原市の中山間部に位置するメリットの一つではないかと思う。また、交流センターから市街まで30分程度で行くことが可能で、山・海を一度に体験できる三原市のコンパクトで素朴な自然も、ここで仕事をする大きなメリットの一つではないか。心を休め気持ちを新たに仕事に取り組める環境は、これからのサテライトオフィスに求められる条件なのかもしれない。