古くから信仰のあった大山
神奈川県伊勢原市にある「大山」は、常に雲や霧を生じ、雨を降らすので、別名「あめふり山」「阿夫利山(あふりやま)」と呼ばれています。山頂には祭りに使ったと考えられる縄文時代の土器片が多く出土していて、縄文時代の頃から信仰があったとされ、江戸時代には「大山詣り」として人気を集めていました。
江戸庶民に親しまれた大山詣り
現在の大山には関東総鎮護「阿夫利神社」と関東三十六不動霊場一番札所「大山寺」があります。神仏習合の江戸時代には「石尊大権現」として庶民の信仰を集め、行楽を兼ねた「大山詣り」として賑わいをみせていたそうです。
手形が不要で富士詣りや伊勢参りに比べ敷居が低いこともあり、多くの江戸庶民が足を運んだそうで、当時江戸の人口が100万人の頃、年間20万人もの参拝者が訪れたそうで、年に2回行く人も多かったそうです。
落語に大山詣りを舞台にした「大山詣り」という演目があり、当時の江戸っ子の旅の様子を伺うことができます。信仰ということで、大山詣りが終わるまでは大人しくしているのですが、江戸への帰りは、藤沢などに立ち寄って大騒ぎしていたようです。当時は、信仰や湯治といった目的以外で自由な旅ができなかったので、信仰の旅ということで、みんなで集まって団体旅行のようなかたちで旅をしていたようです。
今でも残る大山道の跡
東京の世田谷区などには今でも当時の江戸庶民が大山へ向かうための道標などが残る場所がいくつかあります。当時の旅路に思いを馳せる場所として訪れてみてはいかがでしょうか。
準備はしっかりと
小田急線「伊勢原駅」からバスで大山ケーブルバス停まで行き、そこから少し歩く(登る)と大山ケーブル駅がありますので、大山寺、阿夫利神社下社まではケーブルカーで行くことができます。
ケーブルカーで簡単に行くことができますが、山道を歩きますので坂道や階段が多く、履き物など注意して向かってください。また、山頂にある阿夫利神社本社までは険しい山道が続きますので、本社へ行く際は服装や履き物など山登りの準備をきちんとして向かった方がよいです。大山の標高は1252mです。